偽り/ku-mi
 
あなたの想いは雨音よりも美しすぎて
愚かになれないあたしがいる
宝物を守るような指先で触れないで
唇を噛み千切るくらいの強さでいい

傷跡の数を確かめ合うように
体中をひとつひとつ解いていく
背中に甘く湿った温もりを感じたとき
あたしはあの日の雨音を思い出したの

もしあたしが突然消えたら
もうここには来ないとしたら
あなたは壊れてしまうのかな

理由を聞かないで
「愛している」なんて言えるほど
あたしはあなたを嫌いじゃないの
あなたがいつか本当の光を見つけたときに
あたしを置いていけるように
あたしは言葉を飲み込むの
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