NO BITCHING!/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 

 さらりとした肌合いの履物に足を突っ込み多少気分を上げ気味にするとナブコのドアに新しい出会い、ではなくスチール製の、取り付けてからどのくらいの時間が経ったかわからないような自宅のドアを、これでもかというくらい力を込めて開けた。もっとも普段力仕事など縁のない俺には、大した力など出せはしない。ただ、こんな風合いで気合いを入れることがなければ、期待され得るべき外界への繋がりを手中にすることは、とうてい叶うべくもない。どうしても避けられない、いや避けてしまえば後悔しか残らない、むしろ、買わずに後悔より買って反省、というあきばお〜2号店1階のレジに貼ってある言葉がぴったり似合うほど、俺は今、外気を浴びて
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