東京往生/新守山ダダマ
 
眠っていれば見えてくる本当の東京
お前はちゃんと寝ているのか
ちゃんと寝ていないと東京はお前から逃げてしまうぞ
お前のものだった東京が
広がりすぎて、言葉にできなくなっている
お前のものだった東京が
どこかで迷子のように泣いている
働くことに働かされて、遊ぶことに遊ばされて
人ごみの中のお前の中にはもう誰もいなくなっている
俺も空っぽだったよ
でも誰かも同じ空っぽの下にいるんだと気づいたら
全てが俺の中に帰ってきたんだ
この全てが 俺の言葉になる全て
世界と言葉は循環して
毎日新しい何かを見つけに 生まれ変わる
お前も安心して眠ればいい
ほうっておいてもここには 死ななくても極楽なことがあるから
東京は自然に往生する
眠っていればいつでも 新しい東京が只今と言って帰ってくる

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