果実の存在論ーセザンヌ展にてー /服部 剛
 
白いテーブルかけはだらりと垂れ下がり 
食卓に転がっている 
無数のりんごとオレンジ達が 
ぴたり、と止まっている。 

それぞれに好きな方を向き 
それぞれの位置におかれ 
それぞれが自分そのものの色に照らされ 
のっぺらぼうで笑っている、果物達。 

自らの内にある 
種子が 
音符になって 
鳴り出しそうだ 







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