夫婦の夢 /服部 剛
 
夢の中で 
遠藤先生が人型の看板になって 
立っていた 

その看板の裏を覗くと 
順子夫人が金にひかるのべぼうの姿になって 
遠藤先生を後ろから支えていた 

夢から、覚めた。 
窓外の青空に、うぐいすの唄が響いた 

階段を下りて 
食卓の椅子に座り 
厨房でキャベツをとんとん刻む 
妻の背中に僕は、そうっと呟いた 

「やっぱり作家・遠藤周作先生は 
 (ふたりでひとり)なんだなぁ・・・」 







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