雨音に沈む/無限上昇のカノン
機嫌が悪いのは 昨夜の夢のせい
心の傷を抉り出しては曝け出す
夢の中の若い私に 昔の上司が声をかける
恋人とは上手くやってる?
男はタブーを口にする
長い耳の彼氏と暮らしていますよ
冗談で返して
上辺だけのにこやかさを振りまき
楽しくもない話題で嬌声をあげる
宴の終わりに 靴が左右バラバラだったことに気が付いて
必死に探して回るのに どうしても見つからなくて
悲しい気分になった頃
恋人が声をかける
誰も気が付きはしないよ
取り繕ったアリバイ 口止め料
私を動かしていたのは
果てしない憎悪と愛への渇望
欲しかったものが手に入っても
憎悪
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