道草の花 /服部 剛
乗り換えの駅で、旅の電車を下りた。
無人駅の小さいホームから
遠くに重なる山々の
西へ伸びる線路を往くか?
東へ伸びる線路を往くか?
(次の電車まで、あと1時間・・・)
この駅にはいつか来たような
あるいは初めて来たような
ふたつの心が重なっている
少々不思議な、旅のひと時。
こうして遠い空の下までやって来ると
日頃は身近な両親や
僕に微笑む妻子までもが
不思議な人達に視えてくる、旅のひと時。
待ち時間に暇をつぶした
畑の道の傍らに
今にも歌い出しそうな
黄色い花の蕾に耳を澄まし
春の日向に、しゃがんでみる
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