今宵 夜空には釘の音が響きわたり 〜追悼・武力也〜/
服部 剛
ビ梯子=はしご}を昇った上で
職人だったあなたの骨っぽい手で打つ釘の音は
今宵 永久(とわ)に 夜空に 響きわたり
どんなに凍てつく風に吹かれても
大地に深く喰い込んだ
倒れることのない
長い長い梯子の足元から見上げる僕等を
渦巻く風の向こうで
零(こぼ)れ落ちそうに揺れる星空に透ける
あなたの滲んだ笑顔
地上の僕等は
いつまでも・・・
危うく揺れるマッチの灯を
夜空へと手向(たむ)けるだろう
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