Cloe/月乃助
 
森の招待状がとどきました
差し出し人は、不明

 (  今日の午後、お待ちしています  )



宛て名は、
確かにわたし  だから   

森へ さがしに出かけてみる

母の残した麦藁帽子と
忘れな草の夢みる ワンピース
お気に入りのそれに ひさしぶりに袖をとおす

スイセンの甘い香水も 少し




杉森はまだらの光もよう
九十九折の坂道を小鳥にさそわれ のぼっていく


しばらくして出会った
黄色に陽をすった山吹たちは、たずねても
森のうわさ話に 忙しく
とりあってもくれない


瀞にひそむ ヤマメも
ひっそりと岩陰に 昼のまど
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