めおと島ー松島にてー /服部 剛
夫婦みたいに並んでいる
ふたつの小島の周囲には
ひかりの宝石を無数に散りばめた
松島の海が穏やかに
さらさら滑ってゆくのです
先ほど赤い福浦橋の上から
遠い空の下にいる嫁さんに
旅の便りの電話をしたが
他愛の無い会話より
もっと大事な情景を、僕は今見ている。
夫婦のような
ふたつの島の周囲にきらめく
無数の宝石等はきっと
僕等の日々の周囲にも散りばめられ
目を凝らせば
見えないサインが、贈られている
この旅から家路に着いたら
松島の風が唸って歌い
幾千本の松の針が踊っている
木陰のベンチで書いたこの詩を
嫁さんと周に、読んでやろう。
あぁ、今、天空の雲がよけて
ひかりの宝石がさらさら滑ってゆく海と
日をそそがれる頬がほこり、とあったかい
戻る 編 削 Point(1)