ぬけがら/
そらの珊瑚
一日の終わりに
脱いだ
ぬけがらが
いくつか並んでいる
命がけで
脱いだわりに
その佇まいは
くしゃみ
ひとつほどの
可笑しさを漂わせている
上手に脱いだ
ぬけがらは
二枚重ねの特別製
関節のところで
わずかに折れ曲がる
必死にもがいた
腕脚のカタチだと思えば
あくび
ひとつほどの
愛おしさを漂わせている
羽化した人間は
はちみつ色の夜に向かって
かさりかさりと
はばたくのだ
ほら、
うすみどりいろの
セロファンの羽を
小さく震わせて
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