【 想像の芽 】/泡沫恋歌
 
まで
絶対に訂正はしないつもりなのだ

     *

クリスマス前夜
枕もとに靴下を置いて私は眠った
朝起きて見たら
いつも靴下の中は空っぽだった

母に訊いてみた
「どうして、うちにはサンタが来ないの?」
「貧乏だからプレゼントなんか買えないよ」
内職の仕事をしながらそう言った
やっぱりそうか……
その言葉に心の中でグシャリと何かが潰れた

今にして思えば
もっと優しい嘘をついて欲しかった

     *

よく大人は子どもの間違いを正そうとする
知識というハンマーで夢や想像を叩き潰そうとする
正しい知識を与えることが夢や想像よりも
重要だと思っているからだろう

だけど……
そんな決めつけで『想像の芽』を摘まれたら
もう二度とその芽は育たなくなってしまう 
子どもたちのちっぽけな間違いは
どうか見逃して欲しい

 ――正しいことが必ずしも正解とは限らない

子どもの間違いには真実にはない
柔らかな夢を含んでいるから
どうかその芽を摘まないでください
  

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