【 想像の芽 】/泡沫恋歌
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小さい頃 私は
イチゴは木になるものだと思っていた
あの赤い実はサクランボのように
枝にたわわに実っていて
それを食べるのだと信じていた
それが
子ども会でイチゴ狩りに行ったら
広いビニールハウスの中で
イチゴは地べたから
にょきにょきと生えていた
ああ なんてこと……
想像していた『イチゴの木』とは
ぜんぜん違っていたから
私のイチゴへのロマンは
すっかり打ち消されてしまった
*
こし餡に白い薄皮で
ところどころが斑(まだら)に透けている
饅頭のことを私の家では
「やぶれ饅頭」と呼
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