A Mad Tea Party/澤あづさ
 
 黒くなれないクラブの女王の大いなる、ティーパーティの御為に。
 茶葉を求めてジャックらの駆けめぐったオリエントは、いろづいたベルガモットの照りに燻されオール・グレイ、ご存じ? 柑橘の果皮に、光毒、

 ダイヤのジャックが、キーマンを、
「世界の中華の誇りにかけて、アングロサクソンに茶だけは売らん。帰れ阿片やろう」
 追い出されたころスペードのジャックは、セイロンいやスリランカで難渋していた。見よ! かの古きセイロンの英名をば種蒔かれるなり、ウバ茶もはらむ刺激香すがすがしきペパーミントのあおき若芽がイングリッシュミントの辱めに屈するように幾世代、もはや名づけようもない雑種ばかり生い茂って
[次のページ]
戻る   Point(3)