蒼穹/無限上昇のカノン
こんなに長く生きるつもりはなかった
こんなに長く荒廃した街を彷徨うつもりはなかった
ただ、高みに登りたくて
宙(そら)への階段を探していただけ
時間は無慈悲に流れ
すっかり年老いてしまったけれど
中途半端な地図を片手に迷うよりも
新しい地平線に立ちたかっただけ
見上げれば遥かなる蒼穹
登る階段がないのならば
自分で作ればいい
気が付くまでに年老いてしまった
軋む骨を
自ら励まし
私は不器用に階段を登る
不完全な階段は
未完成の部分を目指して
均一とは程遠い高さで
やっと私の重さを支える
今更って嘲笑う私が足にぶら下がり
崩れ落ちそう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)