自己満足/無限上昇のカノン
 
家族が寝静まった夜には
そっと家を抜け出し
生と死の狭間で
命についての哲学的思想を弄んでみる

死にたい私と
生きていたい誰かが
相容れない思考の中で
哀しい悲鳴をあげている
世の中の理不尽を説明する言葉が見つからず
逃げるように都会の雑踏の中
身を隠しても
生きていたいと泣く声が
耳について離れないんだ

生きていることに執着する気が起きない私が
誰かの身代わりになったとしても
救えるのは
たったひとりで
救えなかった人々の嘆きは
余りにも重すぎる

背負えなかった嘆きに
応えることができなかったことが辛くて
逃げ回る臆病者
アル中になるほど安酒に溺れて
子供の頃のクリスマスを思い出すんだ


クリスマスイヴには
いくつかの病院の前で
讃美歌を歌ってきたけれど
病室に歌声は届いたのだろうか
明日が来ないと知っている人に
讃美歌は何を伝えたんだろう
レクイエムか嘲りか
希望は絶望に変わるだけ

生と死の世界観を
命ないものに語り
自己満足で完結する


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