まなざし /
服部 剛
お年寄りの入浴介助前に
同僚のU君が着替えた後はいつも
僕の下の引き出しが閉まらないまま
脱いだ衣類が、もりあがっている
引き出しを開けるたび
骨が折れるが
日頃の僕にも気づいていない
(もりあがり)があるかもしれない
日々こつこつ働くU君が
脱いだ服のもりあがりを
小さい心でゆるす時
ふと、背後に感じる
日々不器用に生きている僕を
すでにゆるしてくれている
もっと寛い(何者かのまなざし)を
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