夜を仰ぐ/石田とわ
 


             明滅する赤や緑の光を浴び
             暗闇にしまうまは横たわる
             静けさの中でざわめきだけが
             息をひそめている
             わたしは歩くあてどなく
             行くあてはどこにもない
             これが孤独というものだろうか
             灯りの消えた見知らぬ家の前
             寝しずまる人々
             ざわめきが息をひそめるなか
             若い夫婦が抱き合っている
       
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