春/
シホ.N
うららかな春の日は
たおやかに花も咲く
吹く風に窓辺はふくらみ
まどろみをさます冷ややかさ
夢見るような空気の揺らぎ
闇をもはらむ光にあふれる
沈黙が
しなやかに這うようで
遠くひびきゆく雑踏のさざめき
くり返される自然の呼吸は
たとえば
今日という春の日のなつかしさ
くり返さない宇宙の波は
今日という日の
あまりの小ささにうねりを増す
見えない闇
聞こえない沈黙
触れることのない不在
なお香る
はかない春の花々の
甘くすっぱく澄みわたる匂い
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