メモリ/しべ
眠りながら埃が泳ぐ
浮かぶ壁面の色と
光芒揺らぐ夜通しの
手折られ可哀想な奴ら
寄り添う姿はひんやりとしている
部屋には目に見えぬ焦りが
夕映えに焦がされた往時のまま
浮かんでいる
清潔に保たれていた筈のデスク
指、携帯電話が羞恥の中で
カチリと音をたてて3時をまわる
卓上スタンドの首と手提げの紙袋が
虚しくにらみ合う
眼球とつながったそれらは
キーや携帯の不揃いな文字列になり
やがては立ち枯れてしまうんだろう
明日は雨らしい
ちょっと油断しているうちに
もげたり 砂になったり
けむりのように囁いては
全てザアザアと消えるのか
戻る 編 削 Point(4)