あさつり/そらの珊瑚
 
まどろみのなか
わたしは
今朝も
ひとり
つり糸を垂らす

湖面は心を映す鏡
澄んでいれば
すいぃーーと泳ぐ
ひらがなの鱗さえ
見えることもある
濁っていれば
口笛など鳴らし
どうにか
おびきよせようと
四苦八苦する

つり糸の先に
かすかな手応えあれば
逃すまいと
指先に神経を集中させる

今日の詩の出来栄えは
ひとえに
釣果にかかっているのである
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