【 桜アルバム 】/泡沫恋歌
あげたかった
――と思った途端に涙腺が緩んだ
人の記憶は日々遠くなっていくけれど
毎年 春になれば
桜は忘れずに 必ず花をつける
百年 二百年……
長い時を生きる桜の樹だから
世の移ろいなど取るに足らぬこと
震災の瓦礫の中でも桜は見事な花を咲かす
まるで宿業のように
その年の感慨に触れて
桜の花びらは様々に変化していく
もう一度 桜が散る前に
そっと掌の中に この想いとともに
閉じ込めてしまおう
今年の桜も
心のアルバムに貼り付けておこう
2012/04/08 撮影
戻る 編 削 Point(20)