みどりの切符 /
服部 剛
今迄きらいと思った人と
互いの気持をぶつけた後で
くるり、と心が回転して
鳥の場所から眺めれば
思いもよらぬ親しみが
じゅわっと胸に湧いてくる
その時ようやく私は
私のみの願いを離れ
賢治さんが好きだった
イギリス海岸のほとりで仰ぐ
夜空に敷かれた線路が
うっすら視えてくる
銀河を走る列車の目指して走る
「幸福の国」への旅は始まり
ポケットにみどりの切符を入れている
密かな旅の一員となるのです
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