本題/シホ.N
ほんとうのことは
ほんとうにならない
それがぼくらの法則だった
ほんとうでないことや
知らないことたちで
世の中は
編みあげられているよう
靴をコツコツ鳴らせて
歩くぼくらの世界
ほんとうのことは
一番遠くにあって
ぼくらを照射するのみ
穿たれる影は
蜘蛛の巣のよう
ほんとうでないことたちの
黒い網の目を
くぐっていくぼくらの足音
ほんとうのことは
実を現わさない
それがぼくらの現実だった
光と闇が重なる
奇跡の瞬間には
ほんとうの
本題がはじまっているはず
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