春における立ち位置/小川麻由美
頚椎を曲げて上を向く
陽光に目を細めながら
淡い桃色の群集を目にする
ちらつく青空と雲と花びら
そして 無骨な幹と枝
それらの織りなすコントラスト
胸を広げて楽しむ
無骨な幹に迷子のように
咲く姿を見つけて
微笑んだりする風の強い日
そんな喜びを見い出す
頚椎をS字に戻す
アスファルトの舗道を再び歩む
スニーカーで蹴る地面が
いつもより いいクッションだと感じ
奇妙な軽さを覚える
いい季節だと思う瞬間
私の立ち位置は
まんざら悪くないのではないかと思う
そう感じさせてくれた
事象に感謝すべきだと
思う私の心も
まんざらではないのかもしれない
次に繰り出す一歩で
何が起こるかわからない
そんな 当たり前の思いを抱きつつ
私のものである時 あるいは現在
瞬間で過去になる特性
この花びらがいっせいに落ちる時
更に現在の瞬間的特性に
確信が持てるだろう
そう 確信を持つべきだ
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