カード型記憶装置/
そらの珊瑚
やっとこ咲いた
桜の前で
人々は
デジカメやケータイの
シャッターを切るのに忙しい
かくして
ひとひらに宿る
いのちの姿は
小さなSDカードに
吸い込まれていった
いつまでも
変色しない
味気なく
美しい
想い出がそこに残される
春の嵐で
散りゆく
いくひらに宿る
いのちの姿に
裏や表があることなどに
想いをはせることなく
忙しい毎日を
今日も
カードに記録していく私
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