小学校における並行世界/小川 葉
 
じ、私にはわかる。あの不思議な感じはなんだろうね。息子に問うと、やはり不思議だったと首肯した。教室の雰囲気などは、同じ学年ではさほど変わりあるまい。しかし人が違う。それだけで、どこか遠い、パラレルワールドに来てしまったかのような感覚が、私にもあったのである。

もし息子が二組だったら、二組なりの息子の人生もまたあった、とでもいうような、不思議な現象。そのように、クラスが違うだけで、また学年がひとつ違うだけで、別な居場所があるのかと思えば、それも不思議な気がして、父親であり、大人でもある私は、今どこにいるのかもはやわからなくなるのである。


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