夕暮れの海 /
服部 剛
誰かが自分に投げた棘を
この両手でつつめるだろうか?
私は弱いので
すぐ相手に投げ返してしまう
後から思えば
それは些細なことであり
体を少し斜めにすれば
宙に消えゆく棘であり・・・
また、失敗するかもしれない
でも、もう一度
ふいに飛んでくる棘を
この両手でつつんでみよう
(たとえ一筋の血が流れても)
それができるまで
この狭い心は
夕凪に照らされて詩(うた)をさざめく
あの憧れの海じゃない
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