『ふたり』/
あおい満月
深海のように
ふかまるおもいが
しろい糸のように
風にとけあっていく
ゆるせなかった過去や苦しみも
今はただ、
ふたりでいるだけで
ちいさなうたになり
穏やかになる
またいつか誰かが
忘れたいたみを
日めくりのように
めくったとしても
ゆうぐれの食卓にふたり
ここに、ふたり、と
わずかな花があるだけで
こんなにも世界は
ゆるやかなのだろ
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