花巻の宿にて /
服部 剛
旅の時間に身を置くと
宿で食べる朝食の
目玉焼きの黄味や
納豆の一粒までも
電球の日に照らされて
嬉しそうに皿に盛られているのです
小皿には仲良く並んだらっきょうの間に
もうひとつの小さいらっきょうが挟まれ
我が家に残してきた妻と子と僕の
3人のようであり
ふと見上げた向かいの席は
若い夫婦と幼い娘で机を囲み
食後のお茶が3つ
ゆらりと湯気を昇らせています
窓外に広がる銀世界を背にして
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