春 いつもの散歩道にて/浅香 葉菜
 
思い出す度に
少しお腹のあたりがもわもわするのは
たぶん悲しかった証なのだと思います

今日のこの暖かい春の日差しも
私の左手を握る小さなてのひらも
あなたと同じように思い出となる日が来るのでしょう

そのとき、
私はどちらをどれほど強く覚えているのでしょう


頬をなぞる柔らかいそよ風に
ひとつ、確かなこたえを聞く


すれ違う人のポケットから
あのメロディが微かに流れる
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