花蒔き/田代深子
 
もの
少なく持つもの
馬が前足で白い土を掻いて
くるまはしたがう
視子の息が細く流れでて
さわぐ子らにまとい残る
御前を乗せやまぐるまは
お宮へ参る

視子
御前を乗せ傘鉾かかげ
お宮でなくば那辺へゆこう
水青い河の流れるところ
苔生す岩の間に稀花が
咲くところ否
御前は
子らを探すのだろう
わらいいさかいし路はしる
子らの群を追い巡る
ついにその足で
路に立つことないまま

ゆくか
ゆこうか傘鉾かかげ錦ひき
くうとなき空飛ぶ鳥の
ゆくかたばかりに

蒔いて




        2004.9.23

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