意義のある人生のために/小川 葉
郷の秋田に帰ってきた。
だから秋田はもっと頑張らなければいけない、ということではない。いい加減のままでいいのである。人に無理を求めず、当たり前の暮らしを守るほうがいい。実際、わたしの年収は、都会も秋田も変わらなかった。むしろ得ることのほうがたくさんだった。
牛丼が280円だとか、380円だとか、接客がどうだとか、笑顔がどうだとか。人を人として見ていないから、そんな基準でしか人を見ることができなくなったのだ。それがお互いを苦しめていることにも気づかないふりをして、ばかは死ななきゃなおらないとさえ、わたしは、わりとまじで思ったものである。だから自然が警笛を鳴らしたのではないかとさえ思ったも
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