不思議な扉 /服部 剛
 
今僕は、東京へと走る列車に乗っている 
結婚前の妻と出逢ってからの数年間 
毎日顔を見ない日はなかったが 
今日から三日間 
我が家を離れ、旅に出る 

今僕は、妻と幼い周から 
どんどん離れて、列車が加速するほどに 
(僕等は三人なんだ・・・)と実感しながら 
脳裏に浮かぶ夜空には 
三ツノ星が縁(えにし)の糸で結ばれて 
不思議な三角形の星座をつくっている 

これから東京駅で新幹線に乗り 
約1年前の震災が無数の家族を引き裂いた 
福島・宮城・岩手へ走る 
暗闇の空間を通過する時 
僕は一体、何を思うだろう? 

早くに別れる家族があり 
遅くに
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