消えた電池のこと/はるな
 
をしてみたところ、「食べ物はある。それよりも、今何かを送ってくれても、宅配便が混乱しているようだから、やめておいて。」と。関西のあらゆるホームセンターやスーパーからも電池が消えた。「マッチと蝋燭がまだある。」と言って笑った電話の向こうの父。
でもそのときもまだ、わたしはそれがどういうことなのか、本当には理解していなかった。

四月になって、実家へ帰った。
計画停電が行われていたころで、うちじゅうに蝋燭があった。ほのかな蝋のにおいさえ漂っていた。普段は食べつけない、カップラーメンや乾パンが出してあって、水を少しでも節約するためか、割り箸や紙皿もそのちかくに積まれていた。それはちょっと異常な光
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