消えた電池のこと/はるな
 
あり、うちは。と、もう一度いった。それはもう何度もインターネットやテレビで津波の映像が流れたあとであり、じゃあ誰がいなくなった、とはとても聞けなかった。生き残っているひとが、残っている。というすさまじい状況で。しかし、その気持ちを知ることはできない。津波は来て、でもわたしたちはそこにいなかったから。

それから、「買占め問題」が報じられるようになった。店頭から品物が消える、と。
まあ、わからなくもないと思った。日本にいて、ど田舎でもないかぎり、とりあえず必要なものは店にいれば手に入る。という状況が、一変したのだから。あの日たしかに世界は変わってしまったのだ。「お米はあるの。」と実家に電話をし
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