銀の鏡 /服部 剛
 
ある朝、霧の中に立つ少年に 
旅人は声をかけました 

「何をしてるの?」 

「霧の向こうのお日様は
 銀の鏡のようですね 」 

「私も銀の色をした、一つの石を持ってるが 
 あんなに光りはしないので、もっといいのはないものか 
 ここまで遠い道程を、独り歩いてきたのです     」 

そうして旅人と少年は 
童話の世界の中で「銀の鏡」を探しにいきました 

   * 

童話の本を、閉じた後です。 
私達の過ごす一日の 
あちらこちらにひっそり隠れて 
ぴかりと反射する「銀の鏡」をみつける 
宝探しが始まるのは 






 
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