『ながれ』/あおい満月
 
うすい板に
はさまれた
弾力なみずは
あらゆる喧騒や献身をすり抜けて
自己だけが知る
ちいさな孔をめがけて滑り込む
みずがみずだけを知る自己へ

みずはむれを好むが
群れへの流れ方を知らない
自己のただしさを知っているが
自己から外への放ち方を知らない
かといって、
なみだはながれない

みずはみずにどうかしたから
みずはみずにどうかしたから

けれど、
そこにひかりが射し込むとき
なにかが大きくかわることを
みずは求めながら
おそれている


                      二〇一二年三月三日(土)
戻る   Point(8)