夢の都 /服部 剛
 
私は今、遠い異国の空の下 
遥か昔に栄えた、廃墟の前に立っている 

まっ青な空に輝く太陽に照らされた 
誰ひとりいない古代の都市で 
幾百年の時を越えて吹く風に 
角の溶けた無数の柱の間から 
透き通った人々の賑わいが、視えてくる 

どんなに時が流れても 
どんなに言葉が違っても 
透き通った人々の胸には 
皆同じ形をした 
魂の器に、陽をそそがれている 

風の唸りを聞きながら 
異国の空の陽を浴びて 
旅人の私は今
瞳を閉じる 
手のひらを胸にあてる―― 







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