【 春に逝く 】/泡沫恋歌
桜の花びらがほころぶ頃に
急な寒さで
きゅっと蕾が縮こまる
そんな花冷え 春に逝く
長い人生の旅を終えて
白い棺の中
鎮魂の花に埋もれて
うっすらと頬笑む人よ
あなたから貰った
命 愛 思い出……
わたしの想いを詩にして
棺の中にそっと入れました
しばしの別れ
いつか きっと逢えるから
涙がいっぱい溢れるけれど
心は笑ってお見送りしよう
あなたの棺は来世へと旅立つ
冥界 そして彼岸に渡る
この世の死は終わりではなく
魂は永遠に生きている
これから先
幾度も春を迎えるわたしは
遠い春に逝った母を想い
いつも 魂は再会している
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