柔肌 1・5/……とある蛙
 
君の素肌に触れた日は
忘れもしない 夕暮れの
 君が十九の秋でした。

僕の心は君だけを
思ひ焦がれて
千々(ちぢ)となり
集めて鈍く燃えたのです。

誰にも言はず
誰にも知れず

躊躇する手をそつと添へ
(僕の手をとり)
そして次第に強く握り絞め
最後はぎうと握り締め

僕は君を抱きしめる
強く強く抱きしめるのです。

君の胸の
小さな突起は潰されて
僕の胸に潰されて
僕はゆつくり君を吸ひ、
舌を絡ませ、愛を吸ひ

僕の手にある あの感触が
するりつるつるのあの感触が
君の素肌の感触が
湿り気を帯び絡み合ひ
ぬめりぬめぬめの感触に
次第次第に埋もれてゆく

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