夢の朗読会 /服部 剛
38度の熱が出て、楽しみだった
僕の出版記念朗読会が、中止になった。
数々の再会の場面が夢になり・・・
僕は今、ふとんに足を入れて
ランプの灯を頼りに、この詩を綴っている
あぁせめて
今日の集いを楽しみにしていた皆が
ぽっかり予定のあいた空白の時間に
恵みのひかりを注がれますように・・・
ふと見上げると、嫁さんが壁に貼った
ポスターで眉間に皺を寄せて
頬杖をつく遠藤先生が、呟いた
「−と思う出来事の中にこそ
+の種は潜んでいるのだよ」
その言葉を信じて僕は
巷にかぜの菌達が牙を剝き
北風に舞う冬の季節を越えて
陽ざしに蕾のひらく春に
再び集う皆の笑顔がひらく場面を夢見て
ふとんを被り、ランプを消した
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