いもと嫁さん /服部 剛
結婚前の嫁さんを僕は(きれいだなぁ)
と、うっとり見ていた
結婚後にいつも一緒の嫁さんは、時折
いもに見えることがある
高熱にうなされ
布団からふらふら身を起こした僕に
嫁さんは、蒸かしいもを持ってきてくれた
この手を暖める蒸かしいもには
嫁さんのまごころが宿っている
どんな天気の日にも共に歩むひとがいるのは
困った時に助けてくれるひとがいるのは
なんとありがたいことだろう
いもを食べ終えて
水を1杯飲んだら
ようやく目が覚めてきた
いもだった嫁さんの顔が
ひとに戻った
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