定規/ブロッコリーマン
わたしの空には定規があてられている
電柱の先がじゃまでまっすぐ線が引けない
わたしの空には定規があてられている
わたしはそれを美しいと思っている
わたしの空にはすべての青が詰まっている
すべての幸せが詰まっている
そこから滲み出るさまざまの喜び
わたしはそれを醜いと思う、
わたしはそれを憎んでいる。
わたしは幸せになれない人間がいると思っている。
わたしはこの空の定規に触れられない人間がいると思っている。
そのずっと手前の雲すら、見ることのできない人間がいると思っている。
わたしはそれを憎んでいる。
世界は優しくない。
それでも世界はわたしたちを愛している。
それでもわたしたちは世界を愛している。
世界は朝を迎える。
等しくない朝を迎える。
間違った朝を迎える。
わたしたちはそれを迎える。
わたしたちはやはり それを愛していた。
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