プライド/小川 葉
ていたところです。あれからコンビニ弁当ばかり食べてしまって、少し痩せました、なんちゃって。などとメールを下書きしていると、窓の外からあの懐かしい、にぎやかな声が帰ってきたのである。
わたしは腕組みして、妻と息子を迎えた。もう少し、一人でも構わなかったんだぜ、強がると、あらそうと、妻が灯油タンクをひとひねりで開けた。とても簡単そうだった。
もう少し、一人でも良かったんだぜ。もう一度言ってみたのだが、妻はもう聞いてなかった。ストーブに火が点いた。からだがあたたかくなるのを感じた。組んでいた腕を、わたしはやっとほどくことができた。
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