チューニング2/……とある蛙
超音速で舞い降りたガルーダの
尻尾の先にくっついたまま
世間を見てきた烏天狗の出来損ない
それが自分の姿で
嘴はもちろん黄色かった
そのまま部屋の中に入る
無音
嘴と眼をカッと見開く
部屋一面に敷き詰められた音叉
音叉音叉音叉音叉音叉音叉
音叉が屹立する森
今一斉に音叉が鳴り出す。
音叉一つは控えめで
チ〜ンと鳴っているだけなのだが
音叉の周波数がちりぢりで
振動がうねりに代わり
キーンという音とともに衝撃波に変わる
音楽にはならず暴力になる。
一つ一つは控えめでも
密閉した部屋の中で響き渡る不協和な音の塊、
共鳴する音 はぐれる音 微妙にリズム
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)