きみは来る、風と一緒に/あ。
 
うつくしい人の手はうつくしい形をしていて
やさしい人の声はやさしい響きで伝わって
かなしい人の瞳はかなしい色を浮かべ
さみしい人の吐息はさみしいあたたかさでした


冬の貧弱な太陽光だって大げさにはねっ返す
細長くそびえたビルに並ぶ窓みたいに
手は/声は/瞳は/吐息は
数えるのが面倒になるほど
其処此処に転がっている


それは、たとえば
チューリップのつぼみを守る朽ちかけた柵
カバーを洗濯していて丸裸の座椅子
つまみ食いされた不器用なお菓子の家
黒目の消えかかった女の子が描かれた起き上がりこぼし


誰かに何処かで触れてほしいから
色彩は簡単に届くところにある


うつくしい人も
やさしい人も
かなしい人も
さみしい人も
重なり合う準備は出来ていた
あとは季節を待っていた


もうすぐきっと、次の風が吹くよ
その時は、一緒に
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