スタートライン /
服部 剛
「位置について、用意」
乾いた鉄砲が空に鳴ったら
時を忘れて
自らの存在が溶け去る迄
只、走り続けよ
脳内から分泌される
あどれなりんの快楽が
体内を巡り
魂の入口に入る時
屍だった体は生き始める
気づいたら
一日を走り終えた、背後に
ぽっかりとした
夢の時間を振り返り
安堵のため息をつけるように
布団を被って夢見る寝顔の少年は
明日の朝日に燦燦(さんさん)と照らされた
スタートラインで、身構える
「位置について、用意」
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