時計のない国で/そらの珊瑚
時計のない国で
のんびりと暮らしています
時計はなくとも
時間はあるわけで
朝、昼、夜と
まこと
大雑把な時間の感覚ではありますけれど
いちまばたきが
およそ一秒
紅茶をひとりぶん出来上がるまでが
およそ五分
眠りにつくまでの読書時間が
およそ一時間
ほんとの眠りにつくまでが
全部の持ち時間
時間は増えているようでも
ほんとのところは 減っています
誰かと待ち合わせすることもありません
またいつか会いましょう
それがいつでもいいことなのです
時計のない国はとても静かです
戻る 編 削 Point(10)