不思議な世界 /服部 剛
 
この体というものは 
六十兆個の細胞がうようよと 
今も無数に分裂しているという 

私という現象は 
常に現在進行形でありまして 
「服部剛(はっとりごう)ーing」であるように 
あなたも「○○○ーing」であるという 

昔々・・・母の胎に宿った頃 
一つの細胞がありました 
その中心に核があり 
その核膜に覆われた遺伝子があり 
たった一つの細胞から 
私の命は始まりました 

細胞達はそれぞれに 
「お前は手になれ」 
「お前は足になれ」 
「僕は脳にいく」 
「私は心臓になる」 
どんどん母の胎内で分裂して 
だんだん人間という形になって 
おぎゃあ!とあの日 
生まれたのが、あなたです  

今朝、窓から日の射す 
あかるい部屋で 
父親の私の腕に抱かれ 
すやすや眠る 
生まれて半年の周ちゃんは 
目覚めて、にこり 
きらきらとした瞳を開けて  

(あぁーうぅー)と声を出し 
棚に座るプーさんの
小さい瞳とみつめあい 
不思議な会話をしています 







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